鬼平犯科帳〈24〉特別長篇 誘拐 (文春文庫)



鬼平犯科帳〈24〉特別長篇 誘拐 (文春文庫)
鬼平犯科帳〈24〉特別長篇 誘拐 (文春文庫)

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しぬこと

 この巻の最後迄を、マーロウの最終巻の様に、誰かが最後迄続けて書く事を望むんだろうか。例えばそんな企画があったとして、作家の方は光栄だろうけど大変だ。心ある作家さんなら、「是非もないこと・・・」と断ってしまうかもしれない。そもそも読者(少なくとも自分)は、平蔵の話が読みたい訳ではなく、池波さんの噺を、「ずっと聞いていたかった」のだと思った。
 ひとが死ぬと、その人が行ってきた全てが未完に終わる。
 自分の実生活の中でも、最後迄面倒が見れる事、そのまま忘れ去ってしまう事、後ろ髪を惹かれつつ、ずっと心残りになっている事、ホント様々。
 この巻が尻切れトンボである事もまた、そんな事を知らず知らずの内に考えさせてくれ、また、人の噺をずっと書いてきた池波さん「らしい」ということです。
鬼平最終巻

未完の作。池波先生の逝去により藤枝梅安も未完であるが、鬼平もいいところで終わってしまい、残念でならない。
 酸いも甘いも吸い、善も悪も知り尽くした長官(おかしら)が現在の日本のリーダーであったらと望んでしまうのは、それほどまでに「でっかい存在」に書き上げられた長谷川平蔵の所為だろう。池波先生の本は一気に読みきってしまう、恐ろしい力を持っている。また、年齢を重ねればそれだけ、その深さに気付くことが多いようである。ただし、若い人(10代20代)も、読んで損は無いし、感じさせられ、成長させてくれる本だと思う。くどいかもしれないが、日本に今、厳しいが情けもあり温かみを感じる真のおかしらが現れてくれないものか。



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